コンテンツ:ご挨拶  物語  キャラクター紹介  舞台設定  スタッフボイス

<<はじめに、『なぜ、このお話しをやるに至ったか?』>>

 

長くてしめっぽい文章なので、読まなくとも構いません(笑)

 

東京OverAgeシアターではこれまで

戦争に巻き込まれるサラリーマン  チャンバラしない時代劇

結婚できない30代の男女 サンタクロースはサラリーマン 昭和の番長

など、どちらかというとかっこよくない、ちょっと笑ってしまうような設定の

物語を多く製作してきました。

よく言えば軽いノリで見られるもの、悪く言えば少しふざけた作品が多いかもしれません。

 

終演後の挨拶で我々はいいます

『我々はアマチュアです。これで食べようとは思っていません』

実はこの言葉はアマチュア演劇をやる人たちの間で小さいながら物議をかもし出していて

『食う覚悟がねぇならやるな!』 『お前たちみたいなのがいるから演劇のレベルが下がるんだ!』

など否定的な意見も多く聞かれます。

 

でも、そうではないのです。我々の真意はそこにはないのです。

言い訳をしているわけでないのです。我々が言いたいのは。

『お金のためじゃなく、お客さんに見て欲しいからやっているんだ』ということ。

小劇場の演劇で生計を立てることはこの国の文化の傾向、国の仕組みから考えて

不可能とはいいませんが限りなくそれ近いと、すこし大人になってきた30代の我々は思います。

昨年私が毎回楽しみに見ていた20代中心の劇団が解散しました

最後のステージ終演後、その座長はいいました。

『お客さんの拍手を糧にがんばってきたんすけど、お金が……』

もったいない話しですが、現実です『食う』ためにやる、ということは『儲ける』というのを

考えなければいけないということ、そうすると制作費を抑えたり、チケット料金を上げたり

しなければなりません。

 

我々はまず『儲ける』ということを捨てました。

物販もやっていますが実は少量でも在庫が出ると赤字です。

毎回の公演の収支目標は収益と制作費がプラスマイナスゼロです。

偉そうに書きましたが、ほとんどの小劇団はマイナスです、プラマイゼロなら万歳です。

『食うため』にやっている人々ですらこうなのです。我々は現実を見つめて、よく考えてみました。

「食べられないのに、どうしてやるの?」ということをです。 答えは簡単です。

 

『演劇が好きだから』

お客さんに喜んでもらうのが好きだから。そういう出し物を提供する自分が好きだから。

だから 無理をしない。 無茶をしない。 自分のできる範囲でがんばる。 とにかく辞めない。

これをモットーに活動を続けてきました。

毎回アンケートを取っていますが、そこにどんな演目が見たいか? という項目があります。

当然毎回目を通していて、参考にさせていただいているのですが、一昨年こんなアンケートがありました。

 

『おっさんたちが、ぶっ倒れて心臓が止まっちゃうぐらい ガチの演目が見たい』

 

考えました。お客さんに喜んで欲しいという気持ちと、無理をしないを秤にかけてみました。

勝ったのは 『喜んで欲しい』気持ちです。

そういうわけで珍しく、スタンダードでわりと大掛かりな恋物語を持ってきました。

楽しいところも、悲しいところも、嬉しいところも、笑いも、涙も全部はいってます。

『お客さんにいい顔で帰ってもらえる』

そう信じてやってきました。あとは結果を待つだけです。

 

楽しんでください、終演後、客席に皆さんの笑顔と拍手があれば、それが何よりの報酬です。

                                                 <<座長 辻武之介>>